
タイトル | モンスターハンターワイルズ |
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メーカー | CAPCOM |
発売日 | 2025年2月28日 |
対応機種 | PlayStation 5 / Xbox Series X|S / PC |
カプコンの新作『モンスターハンターワイルズ』は、美しいグラフィックと洗練された狩猟アクションで多くのプレイヤーを魅了しています。しかし、その裏には決して無視できない課題が潜んでいました。Steamに寄せられた日本語レビューを紐解いていくと、この作品が持つ「光」と「影」が浮かび上がってきます。
圧倒的な没入感とシリーズの集大成感
まず多くのプレイヤーが賞賛するのは、その狩猟体験の爽快さです。アクションの手触りやアニメーションの滑らかさは、歴代作の中でも突出しており、モンスターに向かって武器を振るう瞬間の「気持ちよさ」は格別。素材集めにかかる手間も減り、純粋に「狩り」そのものに集中できるゲームデザインが高く評価されています。
グラフィックもシリーズ最高レベル。特に砂漠地帯で吹き付ける熱風を体感させるような表現には、「まるでPCが本当に砂漠にいるよう」とまで言われるほどの臨場感があります。GPUが高温になる様子を“ウェルダンステーキが焼けるレベル”と例えるレビューには、皮肉と感動が混じったプレイヤーの熱意が垣間見えます。
グラフィックに関しては最初の砂漠のエリアで「靄」が霞がかっており、見通しはあまり良くなくワールドのフィールド出たときに感じた感嘆さを超えることはできなかった。
マルチプレイと最適化の壁:見えないストレスが蓄積する
その一方で、多くのレビューが指摘しているのがパフォーマンスとオンライン周りの問題です。RTX 3090や4070TiといったハイエンドGPUを搭載していても、フルHDですら安定して60fpsが出ないといった報告が相次いでいます。「NASAのPCが必要」と揶揄されるその最適化不足は、多くのプレイヤーにとって致命的な体験の障害となっているようです。
さらに、マルチプレイの仕様も問題視されています。ロビーやリンクパーティーといった複数の概念が登場するものの、その使い方が直感的でなく、フレンドと一緒に遊ぶためには複雑な手順を踏まなければなりません。「5ステップのガイドが必要」とまで言われる始末で、過去作で培われたスムーズな協力プレイの感覚とは大きな隔たりを感じさせます。
PCの最適化不足は多くの方から意見が上がっており、早急に対処すべき案件だと思われる。また、集会所が発売時に採用されていなかったことも批判の的となっている。プレイヤー同士でマルチプレイを楽しむことがモンハンの醍醐味だと思っているのでなぜ発売時に実装しなかったのか理解に苦しむ。
テントの仕様とUIに潜む“旧態依然”
本作では、拠点での準備や装備の変更が“テント内”に限定されており、かつてのように自由にアイテムボックスへアクセスすることができません。特にボウガン系武器を使うプレイヤーにとっては、頻繁な弾薬補充が必要なため、この導線の悪さが大きなストレスに繋がっています。
UI全体にも「扱いづらさ」が目立ちます。たとえばクエストを受注するためには、専用NPC「アルマ」の元に毎回足を運ぶ必要があり、テンポを著しく損なっています。さらに、ボタン操作が重複していて、情報を確認したくても誤ってクエストを削除してしまうケースもあるなど、操作性の設計に粗さが残っている印象です。

拠点とエリアがシームレスではあるものの、ロードを挟むテントに入らないとアイテムの補充や装備の着脱ができない仕様となっていてシームレスである必要性が感じられない。
テントも頻繁に破壊されるため筆者はテントを使うこと自体を諦めて大半の場合は初期拠点からセクレトで移動している
UIに関してはどこが?というよりすべてにおいておかしい。フラストレーションが溜まるUIを一刻も早く改善するべき。
テントの仕様とUIに潜む“旧態依然”
特に多かったのは「とにかく移動距離が長い」という不満です。モンスターとの交戦ポイントまで何度も長距離を走らされ、セクレト(騎乗モンスター)を使っても、拠点やキャンプとの往復が煩わしいと感じるプレイヤーが目立ちました。
また、拠点とフィールドが地続きのように見える仕様にもかかわらず、実際にはエリアを移動するたびにローディングが発生する場面があり、「シームレスとは名ばかり」と落胆する声もあります。
さらに、キャンプの位置や数に関しても利便性が低く、中継地点としての使い勝手が悪いという指摘もありました。これにより、クエスト失敗時や装備変更のたびに「戻るのが面倒」「動線が悪い」と感じる場面が多くなっています。
一方で、マップ自体のビジュアルやロケーションの雰囲気は高く評価されています。ただし、モンスターがいない時間帯には「無駄に広いだけ」「空間の密度が薄く、意味のないエリアが多い」と感じられることもあり、「広さ」と「面白さ」のバランスに課題があるとするレビューが複数見られました。
セクレトでの移動が前提として考慮されているためか、これまでのモンハンシリーズのように徒歩で探索する楽しみ方は難しくなっている。探索することを含めてハンターライフと捉えているプレイヤーは残念に感じているのではないだろうか?
マップの表示が劣悪で高低差が非常にわかりづらい。目的のモンスターから一番近いテントを探すことすら困難を極める。
ストーリーは改善? それとも印象が薄い?
『モンスターハンターワイルズ』のストーリーについては、一部のプレイヤーから「過去作よりも改善された」という肯定的な声が挙がっています。登場人物の描写やカットシーンの演出が丁寧になり、物語全体の構成も「より深く、魅力的になった」と評価する意見も見られます。
しかしその一方で、「物語に感情移入しづらい」「印象が薄い」といった否定的な声も少なくありません。特に、ストーリーの進行中に登場しないモンスターが多数存在することから、「物語の中で狩猟の魅力が十分に活かされていない」「登場モンスターとストーリーがうまく噛み合っていない」と感じるプレイヤーもいるようです。
また、ストーリー展開そのものが淡々としており、強く心に残るようなイベントやシーンが乏しいと感じる人も一定数存在します。結果として、ストーリーを一通り終えても「記憶に残るエピソードがない」という印象を持たれてしまうケースも見受けられました。
こうした評価の分かれ方からも、本作のストーリーは“確かな進化”を見せている反面、プレイヤーによって満足度が大きく分かれる要素になっているといえるでしょう。
個人的にモンハンにストーリーを求めてはいないので「モンスターを狩る理由」をフレーバー的に見ることができるぐらいの割合でいいと感じています。
今回のストーリーは「ナタ」の足跡を追うロードムービー的な作品となっていますが、強制移動が多く、ムービーにする必要性があるのか疑問が残りました。
難易度とボリューム──シリーズファンには物足りない?
ゲームの難易度については賛否両論ありますが、少なくともシリーズ経験者からは「簡単すぎる」という声が優勢です。セクレトなどの新要素により、クエスト失敗や戦闘不能のリスクが大きく減ったこともあり、特に4人マルチでは「モンスターに到達した瞬間に討伐が終わる」と感じるほど緊張感が薄れています。
また、登場モンスターの種類も発売当初は28体前後とされており、PSPや3DS時代の作品と比べても見劣りすると言われています。結果として、ストーリーの進行中にすべてのモンスターと出会う機会がなく、やり込みのモチベーションが持続しづらいというのも事実でしょう。
これまでのシリーズをプレイしたプレイヤーは物足りなさを感じる難易度かと。今回は新規層を見込んでの難易度調整のような気がしています。
モンスターの数はアップデートを重ねて増えていくとは思いますが、根本のベースシステムが極めて残念な出来のためあまり期待しすぎないほうがよいかもしれません。
エンドコンテンツの物足りなさと、急速なプレイヤー離れ
『モンスターハンターワイルズ』はストーリークリア後のやり込み要素、いわゆる“エンドコンテンツ”について、多くのプレイヤーから「物足りない」という声が上がっています。
特に指摘されているのは、高難易度のモンスターが非常に少ないという点。レビューでは、「登場モンスター全体の中で、真に歯ごたえのある相手は6〜7体程度に限られている」とされ、長く遊び続けるためのモチベーションを保ちにくい状況になっているようです。さらに、アリーナクエストといった従来のやり込みコンテンツが未実装であることも、不満を後押ししています。
このような状況の中で、最も懸念されているのが急激なアクティブプレイヤー数の減少です。リリースからわずか2か月で、Steamにおける同時接続数がピーク時から約99%減少したというデータが、複数のレビューで引用されており、熱心なファンですら「長く続けるにはコンテンツが足りない」と感じていることがうかがえます。
一部のプレイヤーは、「今後の大型アップデートやDLCでの立て直しに期待する」という前向きな姿勢を見せていますが、現時点では「エンドコンテンツを支えるだけの土台が不十分」であり、多くのユーザーが本作を離れてしまったことは否定できません。
ここまで早々にプレイを終えたモンハンシリーズは「4」以来かもしれません。エンドコンテンツが弱く、報酬のことを考慮するのであれば現状「アルシュベルド」を狩るのが最も効率が良く、他の選択肢がないのです
エンドコンテンツの「アーティア武器」の制作も武器によりけりですが、属性ごとに揃える必要があるもの、そもそもアーティア武器が不要な武器種など武器格差が大きいことも影響があると思われます。
アーティア武器の性能がランダムなところも問題なのではないかと感じています。
総評:魅力と欠点が拮抗する“過渡期のモンハン”
『モンスターハンターワイルズ』は、美しいグラフィックとアクション性の高さを兼ね備えた一方で、快適さやオンライン機能といった現代ゲームに求められる要素で後れを取っている印象があります。
アップデートによって一部の機能が追加され、今後に期待を寄せる声もありますが、現時点では「ファンが愛したモンハン」とは異なる方向に進んでいるという印象を受ける人も少なくありません。Steamレビューの中で語られていた、「これは“新たな挑戦”であると同時に、“試されている作品”」という言葉が、本作を最も的確に表しているのかもしれません。