商業高校を卒業して最初に就いた仕事は医療機関から提出される社会保険のレセプトの審査・支払い・請求業務を行う日本で唯一の特別民間法人(平成元年当時は特殊法人)「福岡県社会保険診療報酬支払基金」という事業所でした。 (国民健康保険のレセプトを取り扱う「国保連合会」は公法人)
平成元年当時はまだ「紙」のレセプトのみであり、福岡県に限って言えば1ヶ月に約500万枚ものレセプトを処理する必要がありました。 (レセプトは1人1枚というわけではなく、医療機関に複数かかったり薬局で薬を処方されればその分発行されます。)
そのため計算スピードが要求され、それに耐えうる道具が必要なのです。入社直後、新入社員に対しSHARPの加算機を購入するかどうかの確認がされたのを今でも覚えています。
電卓と加算機の違い
- 『=(イコール)』がない
- 電卓のキーを押す順番が違う
イコールがない
上の画像を見てもらうとわかるとおり「+」を押すと同時に「=」となり結果が表示されます。
電卓のキーを押す順番が違う
通常の電卓で1+1-2=0の計算をしたい場合、
『1』・『+』・『1』・『-』・『2』・『=』
という順で押す必要がありますよね。
「1たす1ひく2は。」というシンプルな順番ではあります。しかし加算式で同じ計算をしたい場合、
『1』・『+=』・『1』・『+=』・『2』・『-=』という順番になります。
文にすると、「(0に)1をたす。1をたす。2をひく。」という加減算が後にくるのです。タカハシシコウ
一般的な電卓しか使ったことがない方はおそらく引き算ができないと思います。 (指導員の〇〇さんに引き算してもらいましたが予想通り出来ませんでした😆)
電卓は数字の前に「+」「-」を押しますが、加算機では数字の後に「+」「-」を打鍵します。
名機 SHARP「CS-2130L」
私が「初代」を購入したものと現在所有しているものでは若干モデルチェンジが行われているようでどこかしら変わっているようです。 (昔より軽くなった?気がする)
機能面・ボタンレイアウト等は当時のままです。 30年以上作られ続けているということはそれだけの信頼と需要があるということの裏付けなのではないでしょうか?
この加算機にはいろいろな機能が搭載されていて使いこなせれば業務の効率が大幅に上がります。 ひとつひとつ挙げるとキリがないので簡単にリストアップしてみましょう
- グランドトータル (直前までの計算を累計表示)
- 早打ち対応 (キーロールオーバー / キーから指を離す前に次のキーを打鍵しても入力判定してくれる機能)
- 繰り返し算 (同じ数字を繰り返し入力)
- メモリー 2搭載 (一時的に「2」つの数字をメモリーできる)
- マークアップ (%に近い機能。 1000×8→MUを押すと1080 → MUを再度押すと8%の数字 80 が表示される。 割増・割引・原価・売価計算に使われる)
- アイテムカウント (何件の数字を入力しているか表示)
一般的な電卓の価格は安いものだと100円から1,000円前後で購入できると思いますが、この加算機を含む実務電卓は安くても5,000円、高いものだと10,000円以上するものも存在します (参考 / CS-2130L 希望価格 : 15,000円、実売価格 : 5,000円前後)
電卓は事務職にとって最も大事で長く使っていくアイテムなので多少高くても品質が良いものを選ぶことが重要だと思います。 今後2代目「CS-2130L」と共に再び実務ができることを期待したいと思います
加算機打鍵実演
さすがに30年近くブランクがあると遅いですね。 精進します。