
「せっかく作った動画なのに、YouTubeにアップロードすると画質が落ちる…」そんな悩みを抱えていませんか? 年々動画の画質は向上し、4Kや8Kといった高画質の動画が一般的になってきています。しかし、YouTubeにアップロードされた動画が、思い描いたような高画質で表示されないことは少なくありません。
この記事では、YouTube動画の画質が低下する原因を深掘りし、高画質で動画をアップロードするための具体的な方法を詳しく解説します。
なぜYouTube動画の画質は落ちてしまうのか?
YouTubeに動画をアップロードした際に画質が低下する原因は、大きく分けて以下の2パターンが考えられます。
- 投稿動画の問題: YouTube側の処理や再エンコードによって画質が落ちる場合。
- 視聴側の問題: 視聴者の設定や通信環境によって低画質で再生される場合。
今回は主に「投稿動画の問題」に焦点を当て、高画質アップロードの秘訣を探っていきます。
【投稿動画の問題】YouTubeの処理と再エンコード
YouTubeにアップロードされた動画は、どんな解像度や形式であっても、必ずYouTube側で「再エンコード」されます。エンコードとは、動画ファイルをYouTubeで最適な形式に変換する作業のことです。
この再エンコードの際に、動画が低画質の「avc1」か高画質の「vp9」のどちらかに振り分けられます。残念ながら、この振り分け基準はYouTubeから明確に公表されていませんが、以下の項目が関係あると言われています。
- 動画の解像度がフルHD以上であること
- チャンネル登録者数が一定以上であること
- 動画の再生数が一定以上であること
特に、最低でも解像度をフルHD以上にすることは、高画質化のためにクリアしておくべき条件です。噂では、WQHD以上の解像度であれば強制的にVP9が使われるとも言われています。
画質を落とさず高画質でYouTubeにアップロードする3つの方法
高画質な動画をYouTubeにアップロードするためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
元の動画をYouTubeが推奨する形式と高解像度で作成する
まず大前提として、アップロードする元の動画の解像度が高いことが必須条件です。一般的に、HD画質以上が高画質とされています。
可能な限り、YouTubeが公式に推奨している以下の形式に合わせて動画を作成・保存しましょう。
項目 | 形式 |
---|---|
コンテナ | MP4 |
動画コーデック | H.264 |
音声コーデック | AAC-LC |
フレームレート | 24, 25, 30, 48, 50, 60fps (インターレース解除) |
アスペクト比 | 16:9 |
また、アスペクト比16:9における推奨解像度とビットレートは以下の通りです。
クラス | 解像度 | ビットレート |
---|---|---|
8K | 7680×4320 | 120~240 Mbps |
4K | 3840×2160 | 53~68 Mbps |
WQHD | 2560×1440 | 24 Mbps |
FHD | 1920×1080 | 12 Mbps |
HD | 1280×720 | 7.5 Mbps |
多くのYouTube動画はフルHDで投稿されていますが、さらに高画質を目指すならWQHD(1440p)や4Kも検討しましょう。
OBSの「映像エンコーダ」設定でAV1またはHEVCを使用する
OBS Studio(以下OBS)を使ってライブ配信や動画を作成する場合、ビットレートを高くする以外にも画質を向上させる画期的な方法があります。それは、「映像エンコーダ」の設定で「AV1」または「HEVC」を選択することです。
AV1(NVIDIA NVENC AV1)が最もおすすめ。 これはGoogle、Apple、Amazonなど大手企業が開発に関わる次世代コーデックで、既存のH.264コーデックと比較して「高画質・高圧縮」というメリットがあります。同じビットレートでもAV1の方が高画質になります。ただし、RTX 40シリーズ以降のNVIDIA GPU、Intel Arcシリーズ、Radeon RX 7000シリーズなどの特定のGPUを搭載したPCでのみ利用可能です。
HEVC(H.265)も有効な選択肢。 HEVCはH.264の後継規格として開発され、H.264よりも画質が良く、AV1と遜色ない画質になることもあります。RTXシリーズのNVIDIA GPUで選択可能です。
「出力(スケーリング)解像度」を1440p以上に設定する
もう一つの効果的な方法は、OBSの**「出力(スケーリング)解像度」を1440p(2560×1440)または4K(3840×2160)に設定して配信・動画作成することです。
この設定は、H.264コーデックでも画質を向上させますが、AV1やHEVCと組み合わせることでさらに大きく画質が向上します。また、ライブ配信のアーカイブの画質が低下するのを防ぐ効果もあります。
アップロード後の画質を確認・変更する方法
動画をアップロードした後や視聴中に、実際にどのような画質で再生されているかを確認する方法も知っておきましょう。
- 確認したい動画ページを開く。
- 動画の右下にある設定(歯車アイコン)を選択する。
- 「画質」の部分に現在再生されている画質が表示される。
- 「画質」部分をクリックすると、その動画で再生できる画質が選択できる。
- さらに詳細な情報を確認したい場合は、動画上で右クリックし、「詳細統計情報」を選択する。表示される小窓の「Current/Optimal Res」で現在の再生解像度が、「Codecs」で再エンコードされた形式(「vp09」ならVP9、「avc1」ならH.264/AVC)が確認できます。

YouTubeで高画質な動画をアップロードするためには、元の動画を高解像度で作成し、YouTubeが推奨する形式に合わせることが基本です。さらに、OBSなどの配信ソフトを使う場合は、AV1やHEVCといった次世代コーデックの使用、そして1440p以上の解像度での出力が、画質を大幅に向上させるカギとなります。
高画質な動画は、視聴者にとってより魅力的な体験を提供します。これらの情報を参考に、あなたのYouTube動画の画質を最大限に引き出してみてください。
